通りゆく夏の日に
風が通りすぎたあと 空は猫目石のように ほの暗く化けはじめた 遠雷が押し寄せてくる気配に 空をあおぎ見れば 何もかもが昨日の続きのようで 過去から淘汰されてしまうよう 同じ風景 同じ季節にあっても もう二度と巡ってはこない 通りゆく夏の日に微かに怯えながら 私の中で芽ばえた小さな疼きは やがて空を引き裂く音と光に かき消されてしまうのかもしれない